ボーナスの支給日、家に帰ったら
むかしむかしの話。
家に帰ったら、ソトヤマの母親が黒い布を両手に持って待っていました。
なんでもテレビで袋競り(ふくろぜり)のニュースを見ていたそう。
袋競りとは、山口県下関市の南風泊(はえどまり)市場でふぐを売り買いする時に、独特の方法で競り落とす方法です。
売り手と買い手が黒い筒状の袋の中に手を入れて、指を握って価格が周りに分かることなく決まります。
冬の風物詩ですね。
袋競りを自宅で再現
で、それはいいとして。
何故フグも無いのに黒い布に手を通して人を招くのですか?
ナニ?私が今日冬のボーナス日だったので、母親へのおこづかいをいくらにするか口にすることなく袋競り方式で決めたい?
粋なんだかバカなんだか分からないけど、こづかいが欲しいということはよく分かりました。
要求しなくてもいくばくか差し出す予定だったしね。
分かった。
袋競り、スタート
そして私のボーナスを懸けた袋競りが始まりました。
はっきり言って私にメリットはありません。
お互いに袋に両手を入れます。といっても詳しいやり方は分からないので、私の指を母親が握り、その本数で決めていきます。
・・・握られている指が増えてませんか。
私は首を振っているじゃないの。
お互いがうなずいて握手したら合意とみなし決まりだけどダメだよ、これもらった支給額の半分超えたよね。
ダメだよ、こっち見て目で訴えるんじゃないよ。
なんで握る指を増やすんだよ。
ルール変更
母親はうなずく、ソトヤマは首を振る。
攻防が続きました。
そんななか、しびれを切らした母親がついに人の指を押さえにかかりました。
袋競りが指相撲にルール変更。
いいのか子供にそんなことして。そこまで譲りたくないのか。
残念ながら力ではかなわないソトヤマ。
外したいけど、がっちりホールドされて身動きが取れない。
あれ?カウントが始まった!
10カウント後に解放されて、合意の握手を布の中で求めてくる。
・・・仕方がない、折れよう。
結局半分近く差し出すことになりました。
まとめ
今考えると、母親はお金のことを言いたがらない人でした。
要求したいけど口には出したくない。
けど何かを決めたい、そんな時には袋競りなどいかがでしょうか。
きっと雅につつがなく決まりますよ。
読んでくださってありがとうございました。