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水害ボランティアに行ってきた話

美談ではありません

台風の後ボランティアに行く

数年前の話ですが、台風の後片付けのボランティアに家族と一緒に参加したことがあります。
理由は何て言うんでしょうか、徳を積みたかったんですかね。

地元の社会福祉協議会がやっているボランティアセンターに申し込みをして、行ける日の朝に並んで説明を受けて5~6人で1グループになり現場へと乗り合わせていく訳です。

グループワークする

6人のグループになりましたが、60代が2人、50代が1人、ソトヤマ、10代が2人。
さて、ボランティアセンターの人が言うには、進捗状況を携帯電話で連絡を取り合ったり、最後に報告書を書いて提出するためにリーダーを決めて欲しいとのこと。
大変な仕事だなぁと思っていたら1人のおっさんが挙手してこう言い始めました。

自称スーパーボランティア、あらわる

「私、携帯持ってないんですよ。
そういう生活してないんで。
だからリーダーとかそういうことは一切私はいたしません。
そういうことをしにここに来たんじゃないんでね!」

見る限り歴戦の戦士のような古びた車のディーラーのツナギを着ていて、いかにも面倒くさそうな顔をしている。
そうかー、ボランティア来る人間っていうのはこういうのもいるのか。
10代の子達に向かって訳わかんないことを言い出したので、慌てて止めて

「私は携帯電話持ってますからリーダーやります。報告するんでしゃべらなくていいです」
ユイ

これは先が思いやられると思った瞬間でした。

開始1時間、早くも1人が抜ける

そんなわけで、必要なものを貸してもらって乗り合わせて現場へ向かった我らが6人。
今日やることは家の外、周辺の掃除だそうです。
現場は、雨どいやサッシには土が詰まり、窓も壁も庭も全て土を被り大変な状況でした。
家主に挨拶をして掃除スタート。

車の中で話を伺ったのですが、10代の子のうちひとりはいつもボランティア活動をしており、こういった活動も4回目だとのこと。
すごいねー、こういう若者もいるんだ。

開始から1時間経った頃、そのベテラン学生ボランティアがあのー、すいませんと私のところにやってきました。

「時間なので帰ります」

なんですと?
「僕いっつも午前中の決めた時間しかやらないって決めてるんです。」
・・・社協に電話して迎えに来てもらおう。担当者に電話。
「どうしました、何かありましたか?」
「1人が時間なので帰りたいと言っております」
「始まったばっかだよね?」
「私も全く同じことを思っています」
と言う不毛な会話ののち、自称ベテラン学生ボランティアは社協に引き取られて行きました。

帰り社協の職員に、「ボランティア証明書発行してください」と言っていたのが印象的でした。

1人抜けて1人来る

社協との会話の続き。
「ソトヤマさん、もらった電話で悪いんだけど実はさっき飛び入りで、遅くきた人いるんだよね。その人、乗せてくるからそっちのグループに入れて一緒に活動してもらえないかなぁ?」
そんなにやる気があるのか、別にいいっすよ。

「あー、よかった、助かったー。それじゃあ、そっちで面倒見てください、よろしくお願いします。
(急に小声で早口)ちなみにその人、体が弱くて30分以上作業出来ないって言ってたんで、その辺も踏まえてよろしくお願いします(ガチャ)」
電話を切る音が聞こえる。
なんだって、最後なんだって?
やられたねー、押し付けられた!

そして、白いふわふわな女がやってきた

ベテラン学生ボランティアと入れ替わりにやってきたのは、ふわふわなファーの白いロングコートをまとった、それはそれは優雅な女性。

「〇〇と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします」
こちらこそよろしく。
「東京都から、いてもたってもいられずボランティアをしたくて来てしまいました」
マジですか!これは向こうも断れないわ!

挨拶をしてコートや荷物を家の中の玄関先に置き、作業スタート。
15分作業してもらって15分休憩してもらおう。
大変だな、初対面の人に気をつかうって。何も起こらないといいなぁ。
と思った時に限って、物事は予想し得ないことが起こります。

コートが何故か泥まみれ

その女の人が2回目の休憩に入った時でした。
急に叫び声が聞こえたので、あわてて声のする方に向かうソトヤマ。
「どうしました?」
「コートが玄関先から土間の下に捨てられてる!泥だらけじゃない!クリーニング出したばっかりなのに!」

本日の作業は、外の清掃でボランティアは基本的に家の中には入らないで家主しか中にはいないはず。ということは?
・・・詮索しないことが良いことも世の中あるものです。

割れるガラス

私たちがコートで騒いでいる時、外では自称スーパーボランティアおじさんが偉そうな口を聞いてむちゃくちゃやっておりました。
現場に戻ると「リーダー、こんなんじゃ今日終わらないよ。もっと大胆にガーッとやらなきゃ!」と文句が出る出る。
ああ、私バカにされてるな。水害ボランティア初めてなのに、知らないオッサンに説教されてる。
2人1組になり外した窓に、水を掛けながら雑巾拭きしている人を指さして


「だいたいさ、窓なんか雑巾で拭いてたら時間がいくらあっても足りないんだよ!オレが見本を見せてやるからよく見てろ!


そう言うなり作業中の外した窓を奪ってデッキブラシでゴシゴシこすっていく自称スーパーボランティア。
2~3回こすり上げたその時。
バリン!という派手な音がして、窓ガラスが割れました。
よく見てろと言っていたので、メンバー5人全員しっかり見ていました。

「・・・」お互い顔を見合わせます。
「家主に謝りに行くか」

すぐに携帯電話で現場を撮影して、(自称スーパー(略)を除く)全員で頭を下げに行きました。
「大変申し訳ございません」
あいつが割りました
「すぐに社協に連絡します」
あいつ一人のせいです
「すいませんでした」
みんな言いたい放題です。

土下座する担当

すぐに社協に電話して状況を説明しました。
「すぐに行くので家主に一回謝っておいてください」
「全員でやっておきました」
「現場を撮影しておいてください」
「やっておきました」

それから間もなくして、ボランティアセンターの担当者が到着しました。
家主に会うなり、
「大変申し訳ございません!!早急に弁償させていただきます!!」
と見事なスライディング土下座を土間で披露。
来て2分で土下座してるよ、すごいなこの人。

家主「直してくれるなら別にいいよ」
はぁ、良かった。良くないけど。
ちなみに担当者が土下座している土間の隣には、例の白いロングコートが汚れたままたたんで置いてありました。

作業は終わり

なんとか片付けも終わり、
みんなで乗り合わせて帰ることになりました。
帰りの車の中ではみんな無言です。
ガラスの件を話すとケンカになるのが分かっているので、お互い初対面の我々はわざわざ蒸し返さない、という賢明な選択をしました。
もう疲れたよ。

集合場所に戻り、やっと解散。
私以外はね!
ボラセンの机で長い報告書を書き、画像は後日事務局にメールで送ることになりました。

まとめ

以上、ソトヤマが体験した水害ボランティアでした。
たった半日でしたが、個性の強いキャラクターに囲まれて滅多にない(しなくてもいい)体験をさせていただきました。

声を大にして言いたいことは、「ボランティアは人に迷惑をかけちゃダメ」のひと言に尽きます。
でもそんな活動を必要としている人もいるので、これからも出来る範囲でボランティア活動をしていこうと思います。

読んでくださってありがとうございました。

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